「話が違いますよ!飲み込む前に、きちんとおばあさんの衣装に着替え、おつかいに来た赤ずきんが」

「ふえぇ、おばあさんのお耳はどうしてそんなに、大きいの?」

「それは赤ずきんの声をよく聞くためーーって、やるかあぁ!」

赤ずきんの言葉に条件反射で決められた台詞を言うも、はたっと気付き呑み込み続行。
狼に呑み込まれて赤ずきんが死ぬことはない。

しかして、赤ずきんを救い出すにはあのお腹を切るしかないが、その役の猟師は気絶中。仮にも、赤ずきんを呑み込んだまま狼に逃亡でもされたら。

「ここじゃないどこかで、赤ずきんと幸せになってやる!」

「どこかの断崖絶壁から無理心中確定な常套句(死亡フラグ)ですから、それ!」

周りの反対を押し切って駆け落ちしたカップルの『幸せになってやる!』はバッドエンド。何としてでも阻止しようとした矢先。

「お待ちになりなさい!」

この場でその台詞(決まり文句)。救世主に違いない。きっと、全ての物事を解決してくれるであろう期待を胸にその救世主を崇めれば。