「ありがとう」

こんなに温かな言葉の奥にこんなに
辛い想いを知ったのは初めてだった。




高2の春休み、いわゆる高3になる直前に
わたしは彼氏と別れた。

原因は些細な喧嘩が大きくなったという
典型的な事。


「俺、ミエカとはやっていける気がしない。」


ショックだった。
沢山泣いた。
ご飯もまともに食べれなくて
しっかり眠れない日が続いた。

こんな想いは初めてだった。

初彼というわけでも処女だったわけでもない。
だけど彼のことを想うと
いちいち胸を痛めつけた。

雪解け水のようにあたしの心は濡れていた。