キーンコーンカーンコーン・・・。
「じゃあ今日はここまで。」
教室に響き渡るのは、聞き慣れた学校のチャイムとバカでかい歴史の先生の声だった。入学式を迎えてはや10日。私はすぐにでもこの教室を飛び出したかった。(やってらんねー)と心の中で何度も呟く。それもそのはずで私は運の悪いことに、一回目の席替えでうるさい人達に囲まれた座席を引き当ててしまったのだ。授業中にもかかわらず、私を挟んでは関係ない話で盛り上がる女子生徒。すぐ後ろの席では堂々とスマホを片手に持ちながら離れている席の人とふざける男子生徒。勿論、先生は注意をするが周りは聞く耳を持ち合わせていないようで
「佐々原!いい加減にスマホをしまえ!!」
と、しまいには怒鳴る先生もいる。スマホを片手に持つ男子生徒と私の苗字が一緒なので私は怒られた気持ちになる。
人と関りたくないのに、こうも毎日先生に名前を呼ばれてしまうとますます自分が嫌いになるような気がした。
「今日も名前を呼ばれるのかな・・・。」
私は重い足取りで電車に乗り込む。時刻は16時15分。一時間目の授業が始まるまで一時間以上暇がある。この時間の電車に乗れば学校には16時30分頃に着く。正直早く学校に行って何かをするわけではないのだが、それでもこの時間帯に乗るのは習慣になりつつあった。
いつもの道を通り、野良猫を見かけては「元気?」とあいさつをし今日もいつもと変わらないと思っていた。そう、この時までは・・・。
教室のドアを開けると私は立ち止まってしまった。この時だけ時間が止まっていて私も逆らうことができないが為に行動を起こせないのではないかと思った。しかし、残念ながらその考えは間違いであり、単純に私がその場で目を離せないでいただけだった。
赤く染まりつつある空からは、まぶしいくらいの光が差し込み窓側の席を明るく照らしていた。光の中で、唯一確認できるのは一番後ろの席の人影だけで、私よりも早く来る人がいるのかと思い、それでも関りたくはないから立ち止まっていた足を動かし黙って自席に着いた。
「お前、俺が見えるの?」
突然声をかけられ、私はとっさに声のする方を向いてしまっていた。
人との関りは切りたくても切れないものなんだと実感してしまう瞬間でもあった。
「へぇ、やっぱり俺が見えて、声も聞こえるのか。」
声をかけてきた人物は、顔色一つ変えずにポツリと呟く。
「あの、見えるとか聞こえるとか 一体何の話ですか?」
気が付いた時には口から質問がこぼれ落ちていた。すかさず相手はその質問を丁寧に掬う。
「ん?あぁ、俺さ、周りの奴には見えないみたいなんだよね。死んでないのにさ。」
私の思考は停止した。(見えてない?死んでない?どういうこと?)次々に浮かんでくるのは疑問のみ。
「死んだことに気づいていない幽霊なんですか?」
最終的にたどり着いた結論をそのまま口に出す。どう考えてもそうとしか考えられないのは恐らく私だけではないだろう。
「そう考えるのが妥当だよな。でも、俺死んでないし。なぁ、お前名前は?」
「佐々原カンナ・・・。」
「カンナね。俺は月宮奏斗(つきみや かなと)。ようやく話せる相手見つけたしカンナには協力してもらうわ、よろしくな。」
そう言って向けられた彼の笑顔に少しドキッとしてしまったのは、恐らく気のせいだろう。
「じゃあ今日はここまで。」
教室に響き渡るのは、聞き慣れた学校のチャイムとバカでかい歴史の先生の声だった。入学式を迎えてはや10日。私はすぐにでもこの教室を飛び出したかった。(やってらんねー)と心の中で何度も呟く。それもそのはずで私は運の悪いことに、一回目の席替えでうるさい人達に囲まれた座席を引き当ててしまったのだ。授業中にもかかわらず、私を挟んでは関係ない話で盛り上がる女子生徒。すぐ後ろの席では堂々とスマホを片手に持ちながら離れている席の人とふざける男子生徒。勿論、先生は注意をするが周りは聞く耳を持ち合わせていないようで
「佐々原!いい加減にスマホをしまえ!!」
と、しまいには怒鳴る先生もいる。スマホを片手に持つ男子生徒と私の苗字が一緒なので私は怒られた気持ちになる。
人と関りたくないのに、こうも毎日先生に名前を呼ばれてしまうとますます自分が嫌いになるような気がした。
「今日も名前を呼ばれるのかな・・・。」
私は重い足取りで電車に乗り込む。時刻は16時15分。一時間目の授業が始まるまで一時間以上暇がある。この時間の電車に乗れば学校には16時30分頃に着く。正直早く学校に行って何かをするわけではないのだが、それでもこの時間帯に乗るのは習慣になりつつあった。
いつもの道を通り、野良猫を見かけては「元気?」とあいさつをし今日もいつもと変わらないと思っていた。そう、この時までは・・・。
教室のドアを開けると私は立ち止まってしまった。この時だけ時間が止まっていて私も逆らうことができないが為に行動を起こせないのではないかと思った。しかし、残念ながらその考えは間違いであり、単純に私がその場で目を離せないでいただけだった。
赤く染まりつつある空からは、まぶしいくらいの光が差し込み窓側の席を明るく照らしていた。光の中で、唯一確認できるのは一番後ろの席の人影だけで、私よりも早く来る人がいるのかと思い、それでも関りたくはないから立ち止まっていた足を動かし黙って自席に着いた。
「お前、俺が見えるの?」
突然声をかけられ、私はとっさに声のする方を向いてしまっていた。
人との関りは切りたくても切れないものなんだと実感してしまう瞬間でもあった。
「へぇ、やっぱり俺が見えて、声も聞こえるのか。」
声をかけてきた人物は、顔色一つ変えずにポツリと呟く。
「あの、見えるとか聞こえるとか 一体何の話ですか?」
気が付いた時には口から質問がこぼれ落ちていた。すかさず相手はその質問を丁寧に掬う。
「ん?あぁ、俺さ、周りの奴には見えないみたいなんだよね。死んでないのにさ。」
私の思考は停止した。(見えてない?死んでない?どういうこと?)次々に浮かんでくるのは疑問のみ。
「死んだことに気づいていない幽霊なんですか?」
最終的にたどり着いた結論をそのまま口に出す。どう考えてもそうとしか考えられないのは恐らく私だけではないだろう。
「そう考えるのが妥当だよな。でも、俺死んでないし。なぁ、お前名前は?」
「佐々原カンナ・・・。」
「カンナね。俺は月宮奏斗(つきみや かなと)。ようやく話せる相手見つけたしカンナには協力してもらうわ、よろしくな。」
そう言って向けられた彼の笑顔に少しドキッとしてしまったのは、恐らく気のせいだろう。