「博愛!!」

同僚の梶間に肩を叩かれて我に返った。

「大丈夫か??疲れ溜まってんじゃないの」

血圧計を片付けながら苦笑いを浮かべる梶間は私と同期で、たいていいつも同じ班で組まれるクルーだ。

「ああ…ごめん」

病院に着いてすぐ処置室に患者を引き渡す。

ここまでが私の仕事で、事務所で記録をとって救急車へ乗り込んだ。

「あの人、だめだな」

聴診機を首にかけなおして外を見た。

「梶間」
「おう??」
「私さ」
「うん」
「救命士…続けられるかな」

突拍子もない私の問い掛けに、梶間は眉をひそめた。

「お前ぐらいやり手の救命士いねえよ」