今日最後の患者は江口という中年の男性。

風呂場で倒れ意識がないと聞いているが、もう全く見込みはない。

死亡の確認は私たちではできない。

もう無理だと確信していても、病院で医師に引き継がなければいけないのだ。

妻だろう女性は隣で喚き散らしていて、私たちの会話などまるで耳に入っていない。

「受け入れ先、決まったぞ。神田市立中央病院だ」

主任から受け入れ先の申し送りを受けて、このあとこの奥さんはもっと喚き散らす事になるのだと考えると更に可哀相になる。