「うん。」


「俺、『花菜が好きだな~』って自覚したんだけど、その時は彼氏いるのを知ってたから。」



「………。」



健人さんの手が伸びてきて、私の頬を両手で挟んだ。突然の事にビクリとした。


健人さんは気にする事なく話を進めた。



「あの日、彼氏にフラれて泥酔してる花菜を逃がしたくなかった。」


「健人さん?」


「このチャンスを逃すほど………俺は馬鹿じゃない。」



近づく健人さんの顔に体が固まる。



「だから罠を仕掛けた。『甘い夜だった。覚えてないだろ?』って。」


「罠?」


「服は皺になるといけないから脱がした。それで誤解すればいいとも思った。」


「………。」


「花菜、もう逃がさないよ。」



息の掛かる程に近づいた健人さんの顔に息を吸うのも忘れる。



「俺を好き?」


「えっ?」



間近にある健人さんの瞳と見つめ合う。



「花菜、俺を好き?」


「…………好きです。」