あの日から前向きに過ごせるようになった。


噂が聞こえてきても、社長が本気で私を好きなんだと思えば、噂は噂なんだと思えるようになった。



「なんか花菜、変わったよね?」


「ん?変わった?」



ランチの時間にあゆみが私をじっと見つめて話し掛けている。



「溜め息も吐かないし、俯いたりしないし、なんか強くなった?」


「強くか………。」


「俺も思った。あんなに噂を気にしてたのにさ。」



藤村の言葉に頭の中で考えてみる。


確かに溜め息も噂も気にしないようになった。それはやっぱり社長や長谷川さんのお陰なのかもしれない。



「社長がちゃんと私を想ってくれてるのが伝わったからかな。」



私の何気なく吐いた言葉に静まり返る。周りの同期を見渡せば、固まったまま私を見つめている。



「なっ、何よ。」


「花菜、幸せすぎ。」


「俺も庇っただろ。何か奢れ。」


「ちゃんと社長にも伝えたら?伝えて貰うばかりじゃ駄目だよ。」