黙り込む女子社員から社長に視線を向ける。



「まあ、俺はいつでも一緒にいたいけどね。」


「社長、言いますね!」


「本音だから。でも同期も大切にしたいみたいだからランチぐらいは譲るよ。」


「社長、やっぱり格好いいです!」



あゆみが社長と話している。


社長の視線が目の前に立つ女子社員に向けられた。



「俺と長嶺は本気で付き合ってる。変な噂は立てないように。」


「「あっ、はい。」」


「さあ、仕事の時間だから行こうか?」



エレベーターのボタンを押し直し、私達は自分の部署に戻っていく。


上るエレベーターの中で、社長の指が私の指に絡まる。



「今、会社とプライベートは別だからって言ってただろ。」


「冬馬、固い事を言うな。」



長谷川さんの突っ込みに同期も笑う。



「社長、ありがとう。」


「ああ。」



照れ笑いする社長に微笑んだ。