社長と二人で並んで歩く。


すれ違った女子社員の視線が社長を見ているのが分かる。



「長嶺は頑張ってるね?」


「そうですか?坂本さんに指示された事をこなすって感じですが。」


「坂本も随分と可愛がってるよ、長嶺を。」


「またまた~。いつも怒鳴られてます。」



私はクスクスと笑えば、社長の小さな呟きが聞こえてきた。



「羨ましいよ。」


「えっ?」



隣の社長を見上げれば視線が合う。



「可愛い長嶺といつも一緒で。」


「ふふっ、社長は口がお上手ですね。」


「本心だけど?」


「ふふっ、お世辞でも嬉しいです。」



私はクスクスと笑えば、社長が私の頭をポンポンと叩いた。



「長嶺は本当に可愛いよ。」



社長の言葉に嬉しくなる。


でも社長にとって私は社員の内の一人で、年も10才ぐらい違う。


妹のような子供のような感じだろうか?