ガチャ。


リビングに人が入ってくる気配に扉に視線を向けた。



「裕人兄?」


「健人の結婚相手、彼女でいいと思うけど?」


「裕人は関係………。」


「あるよ。俺達の義理の妹になる人だし。」



ソファーに近づいてくる裕人さんを見つめる。


健人さんと容姿は似ているが、雰囲気は健人さんより冷たい感じだ。



「会社は長男の俺が引っ張るし、孫でも沢山作って貰えば?健人の頼み事なんて珍しいだろ。」


「裕人………。」


「大丈夫。二ノ宮グループは簡単には揺るがない。俺ら3人で守るから。」



裕人さんが一人掛けソファーに座った。



「親父もお袋も人を見る目はあるだろ?俺は彼女を気に入ったけど?」



私に微笑む裕人さんを見つめる。表面は笑っているが、私を観察しているのがわかる。



「長嶺さんは頑張ってくれるのかね?」



お父さんの声に裕人さんから視線を外し、私を見つめるお父さんに頷く。