二人の目が驚きに見開いていく。



「二ノ宮グループに恥は掻かせない。勿論、会社を盛り上げていく事も怠らない。」


「盛り上げる気があるなら……。」


「親父、お袋、頼む。」



健人さんが二人に深く頭を下げた。私も同じように深く頭を下げた。



「彼女以外は考えられない。俺の頼みを聞いてくれないか?」


「「…………。」」


「必要ならマナーは習わせる。孫も山程見せてやる。老後は孫に囲まれて暮らしたくないか?」




健人さんが頭を上げるのを感じ、私も頭を上げた。


お母さんの視線が私に向けられている。



「長嶺さんはどうなの?ちゃんと健人の期待に応えてくれる?」


「私は…………。」


「花菜。」



健人さんの優しい声にチラリと健人さんを見て、すぐにお母さんに視線を向けた。



「私は健人さんの想いに応えたいです。私と健人さんでは暮らしてきた世界が違うのは分かっています。でも………。」


「でも?」


「健人さんを愛してる心は本当です。」