健人さんと繋いでいた手を握り返され、隣に座る健人さんを見上げた。


目と目が合えば、にっこりと優しく微笑んでくれていた。



「健人さん?」


「花菜、大丈夫だから。」



健人さんの笑みに力を籠めていた手を緩めた。


健人さんは私から目の前に座る両親に視線を向けた。



「恥?俺が恥を掻く?あり得ない話だ。」


「長嶺さんが足を引っ張れば、お前が恥を掻くのは目に見えてる。」


「親父もお袋も俺はいつまでも子供じゃない。それなりに場も踏んでるし、対処だって知ってる。」



私の手を離して、私の肩を抱き寄せる健人さんに目を見開く。


目の前に座る二人の表情も険しくなる。



「伊達に年を重ねてない。花菜に足らない部分はフォローもするし、花菜だって頭が悪くないから、場を踏めば上達していく。」


「二ノ宮グループを大きくするつもりはないのか?」


「十分大きいだろ。守る義務っていうのは会社の繁栄だけじゃない。」


「………。」


「孫はいらないのか?花菜となら何人でも孫を見せられる自信あるけど?」