「ね、連絡先交換しよ」



幸隆くんはそう言いうと正面にいる私の方へ少し身を乗り出してきた。


グッと距離が縮まる。


近くなった綺麗な顔に緊張を覚えながらも私の頭の中は冷静で、連絡先を交換するかしまいかと懇々と悩む。




こんな明らか軽い人と連絡先なんて交換していいの?でも軽いからこそ、友達として、なら別にありかも?


なんて考えていると、突然おでこをヒョイと突かれた。



「なーに迷ってんの。こんな軽い奴に連絡先教えていいの?とか思ってんでしょ」



図星すぎて何も言えない。もういろいろ超えて逆に笑ってしまいそうになる。



「うわ、図星だったから笑い堪えてる」


「いや、そんなこと…」



否定しつつも緩む頬は止められない。



「本当正直だね桔子ちゃんは」



また無邪気に笑う幸隆くん。



「俺さ、こんな見た目チャラいけど案外一途なんだよ。誰も言ってくれないから自分で言うけど」



この笑顔で今までたくさんの女の人を落としてきたんだろうな。



「だからほら、とりあえず交換しとこ?損はないって」



軽っ。


まあ、私はこの笑顔には騙されないし、絶対に落ちない自信もあるし、幸隆くんの言う通り別に損はない。


そう思って携帯を取り出すと



「やった〜桔子ちゃんゲット〜」



なんて笑う。チャラさと軽さ全開だ。