お店の中は、柔らかい温かなオレンジ色の灯りで包まれていて、静かに洋楽が流れていた。

とても綺麗でお洒落だけど、カジュアル向けの入りやすい雰囲気で、満席に近い状態だ。


高級なお店だったらどうしようと心配してたから、少し安心した。


メニューを開くと、看板メニューのステーキとハンバーグが種類豊富に並んでいた。

悩んでいる私をみて、幸隆くんがお勧めのメニューを教えてくれる。

そのメニューで即決した私に、また楽しそうに笑った。



「このお店よく来るんですか?」


「うん、お肉食べたくなったら大抵ここかな。他にもこの辺、お洒落で美味しい店多いし」


「さすが。よく知ってますね」


「女の子落とそうと思って見つけたわけじゃないよ?」


「ほんとですか?」


「本当だって。信じられない?」



わざとカッコつけて聞いてくる彼に笑いながら正直に頷く。



「桔子ちゃん、手厳しいわ」



さっきのキメ顔を崩して、無邪気に笑う。


綺麗な顔には緊張するけど、幸隆くんの話しやすい雰囲気にはとても落ち着く。


モテる男は違うな。