一連の流れがルーティンをこなすようにようにスムーズで、思わず見とれてしまった。



「どうしたの?」


「あ、いや、わざわざ車なんて出してもらって申し訳ないなって」


「わざわざじゃないよ。年下の女の子にご飯付き合ってもらうのに、車出さないようなカッコ悪い男だと思った?」


「いや、そういうわけじゃ…」



桔子ちゃんおもしろいねって優しく笑う。


上質そうな張りのいい革のシートも、車内に香る上品な甘い匂いも、銀の映える綺麗な横顔も、全部自分には見合わなくて。ただでさえない自信がさらに失われていくのが痛いくらいにわかる。


なんでこんな人が私なんかをご飯に誘ってくれるんだろう。そんなこと、答えはわかりきってるのに。自分、何考えてるんだろう。



「桔子ちゃん、お肉好き?」


「お肉?好きです」


「よかった。じゃあ肉いこ!」



こんなイケメンと高級車なんて、人生に何度も関わるようなものじゃないし、貴重な経験として楽しもう。

嫌な思考回路から抜け出せなくなる前に、全て断ち切って開き直ることにした。