「じゃあ、そろそろ帰るよ」


「ありがとうございました。今度はいつ来て下さるんですか?」


「今月中にはもう一回来ようかな」


「本当ですか?嬉しいです。待ってますね」



ギラついた照明が溢れた場所から少し薄暗くなる階段。


高いヒールで階段を上り下りすることはもうとっくに慣れてしまった。


外のネオンが差してきた頃、同時に雨の音が聞こえてきた。



「あら、雨ですね。傘、お持ちですか?」


「あぁ、朝の天気予報みてたからね。折り畳みを持ってきたよ」



そう言って鞄から出した傘を広げる。



「ありがとうございました」



深くお辞儀をして黒い傘が見えなくなるまで雨のかからない場所で見送る。


スタッフに促され、来た階段を引き返そうとした時、ふと横目に懐かしい銀色の髪の毛が目に映った。




どうして…