島本さんと私とあゆが同じ方向の電車だった。
そんなことにもなんだかほっとする。
これが、相川さんと二人だったら、あまりにも気まずい。



「今日は、本当に楽しかったよね。」

「うん、そうだね。
それにしても、あゆと相川さんのデュエット、すごかった!」

「本当ですね!
二人でユニット組んだら、デビュー出来るんじゃないですか?」

「……ユキ…また敬語使ってる…」

「あ……すみません。あっ…」



照れる島本さん…なんだか可愛い…



(また…)



いやだな、私…何、考えてるんだろう。
島本さんはあゆと付き合ってるのに…



電車が来て…二つ席が空いてて、島本さんは私とあゆに座るように促した。
島本さんは、扉の前に一人で立っていた。
良い人だな、島本さんって…



「あぁ…楽しかったけど疲れたね。
私ももう年かな。
早くお風呂入って寝たいよ。」

「そうだね…」

「ねぇ……バーのことだけど…
海斗、あんたとふたりで行きたかったんじゃないの?」

「え?ち、違うよ。
海斗…みんなでって言ったもん。」



嘘を吐いてしまった。
なんでだろう?保身?
自分で自分の気持ちがよくわからなかった。