「さてと、お腹もいっぱいになったし…これからどうする?」

「そうだね…」



とりあえず、ロッジに荷物を置いて、私達はあたりを散策することにした。



近くには川が流れ、涼やかな風が森を吹き抜ける。
小鳥のさえずり…足元に咲く可愛らしい野草。
都会ではなかなか感じられることのないそれらは、私達の気持ちを和ませてくれた。
私とあゆは森を散歩して、相川さんと島本さんは川に魚釣りに行った。



「良い所だね。」

「本当だね。こんな所に住んでたら、ストレスなんかたまらないだろうね。」



これからとんでもない告白をするっていうのに、私はあゆとそんななんでもない会話を交わして…



(ごめんね…あゆ…)



大丈夫かな?
しっかり話せるかな?
ここまで来たっていうのに、まだ私の心の中は不安だらけだった。



「おーい!釣れたぞ~!」

いつの間にか、日は翳り…魚を持った相川さん達が私達の所へ合流し、私達はロッジに戻った。



「今夜は御馳走だね。」

私達は表で、バーベキューの準備を始めた。
二人の釣って来た魚は、相川さんがさばいてくれた。



「肉、もう良いんじゃない?」

「野菜もどんどん食べろよ。」



皆で食べて…飲んで…話して…笑って…
楽しかったバーベキューは終わり…リビングでテーブルを囲んで、みんなでコーヒーを飲んで…
そして、ついにあのことを話す時がやって来た。


「あ…あゆ…じ」
「ちょっと聞いて欲しいことがあるんだ。」



同時に発せられたあゆの声に、私の声はかき消された。