「協力してあげてもいいよ」
「え……、」
「莉胡はね、好きになると盲目なんだよ。
はじめから春のこと好きじゃないのはわかってたことだけど。春が莉胡のこと好きなだけで、莉胡は別に春じゃなくても良さそうだから」
「そ、うなんだ……」
脱力したような、なんとも言えない表情の由真。
自分の好きな男が報われない想いを抱えているなら、振り向いてほしいと思うのは当然のことなのか。
「とりあえず、俺と付き合う?」
考えた結果。
脳裏で浮かんだことを口にすれば、「えっ」とおどろく由真。確かに、いきなり付き合う?って聞かれたらびっくりするとは思うけど。
「何の関係もなしに教室で突然仲良く喋ってたらおどろかれるでしょ。
莉胡にも付き合ってるような距離感で連絡したし」
「あ、なるほど……」
「由真も俺のこと名字で呼んでたくせに、
莉胡に電話する時は名前呼びだったよね」
「えっ、うそ……無意識だ……」
ぱちぱちとまばたきする由真。
どこか幼くて、可愛らしいその姿は男ウケの良さそうな雰囲気を持ってる。……莉胡とはやっぱり正反対なのに、春の趣味がわからないな。
「そ、それより、千瀬くんわたしの名前知ってたんだね……
いきなり由真って呼ばれて、びっくりしちゃった」
「一応クラスメートでしょ」