──それが、今年の春だった。
同じ高校に進んだ彼氏から、突然別れを切り出された、その理由は。
「春くん……
莉胡ちゃんにひとめぼれだったんだって」
「、」
「莉胡ちゃんかわいいから……
その気持ちは、よくわかるけど……でも、やっぱり……わたし、春くんのこと好きだから……」
「春を取り返すために、
莉胡と別れさせてほしいって?」
「……っ、無茶なこと言ってるのは、わかってる。
でも、七星くん……莉胡ちゃんのこと好きなんだよね……?」
冷たくなってしまうのは、俺のいちばんがずっと、莉胡だから。
莉胡のいちばんが俺でなくなってしまっても、俺のいちばんは、ずっと変わらずに莉胡だ。──それは。
「……好きじゃないよ」
「え、」
「俺、莉胡のこと好きだって、いままで1回も言ったことないんだよね。ミヤケにも。
……たしかに大事だとは思うけどさ。それと好きかは別問題でしょ?」
恋愛感情なんて、そんなあやふやなものじゃない。
俺らしくない言い方かもしれないけど俺らの信頼は確かな絆で結ばれてて、恋なんて一時的な感情で壊れたりはしない。
「俺は莉胡に幸せでいてほしい。
……だから春といることが莉胡にとって幸せなら、頼まれたところで別れさせるなんてできない」
「……七星くん」
「春のこと好きなら、
俺にそうやって頼み込むより、春にまっすぐ伝えた方がいいよ」