上半身裸でいられると目のやり場に困る。
幼なじみで千瀬のそういう格好は多少見慣れてるけど、だからってそのままでいられると困る。
「なに、いまさら照れてんの?」
「て、照れてない……」
「ふーん?
……ま、どっちでもいいけど。で、今日は何しにきたの。マシだからべつに頼むようなことないよ」
するりと袖に腕を通して、服を着てくれる千瀬。
ほっと胸をなでおろして、「何かあるでしょ?」と聞くけど、千瀬は何もないの一点張り。
「素直に帰って、テスト勉強すれば?
何なら、春とデートしてくればいいのに」
──決して、千瀬から同じ分だけの愛情が、欲しいわけじゃない。
けれど少なからず、幼なじみという存在を大事にしてほしいと思うのは、事実で。
「……なんで、そんなに、冷たいの?」
「………」
「このあいだ雨の中帰ってきてくれたじゃない。
そのせいで熱出したんだから、申し訳ないって思うのも、ありがたいって思うのも当たり前じゃない。なのにそれを迷惑みたいに、言わないで」
「……迷惑だと思ってるからだよ」
「、」
「ごめんも、ありがとうも聞いた。
それで俺は莉胡からの謝罪も感謝も受け取った。……それだけじゃ物足りないの?」
莉胡はどうしたいの?と。
聞くのに、その瞳がわたしをうつす気なんて、さらさらない。飲み物を入れるのか、カップにだけ注がれる視線が、ひどく悲しくて。