【Side Miyake】



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「そう。

莉胡はそんなこと言ってたんだ?」



くすくす、くすくす。

楽しげなその双眼は、一体どれだけの真実を隠して、嘘を吐くんだろう。俺が出会ったときから変わることのない、東の絶対的な王様。



「まったく、困るなぁ。

もうすこし可愛げのある言葉でも言えばいいのに。……俺のことまだ好きなのにね」



「十色さん……

一体、莉胡のこと、どうしたいんですか」



この人の命令で、俺はリスクを冒してまで西のテリトリーに足を踏み入れた。

累に近づきすぎると東の人間だと知られた時に逃げ場がねえから、できるだけ東寄りの繁華街をうろついて、腹ごしらえに入った店でまさかの遭遇。



莉胡は千瀬と、いまもまだ一緒だった。

──ただ俺が、おどろいたのは。



「莉胡さあ……

西側の人間と一緒にいたでしょ?」




なにを考えているのか、莉胡と千瀬は、西の人間と一緒だった。

俺の足を踏んできやがった千瀬の反応を見る限り、たぶん、元東の人間ってことは話してねえと思う。



「なんで、莉胡たちが西のヤツらといるって、」



「俺のこと誰だと思ってんの?

……面白くないんだよね、こういうの。いっそ累のこと潰しちゃおうか。どうせトップのお気に入りにされてんだろうし」



「!? 何言ってるんすか……!

累潰そうと思ったら、東西で全面戦争することになるんすよ!?そんなの、」



初代からずっと。

互いにライバル視はしてきたが、東西が争ったことはなかった。──どちらも、ライバルとして見てきた相手を潰そうとは、しなかった。



「そもそも、手放したのは十色さんなんすよね!?

莉胡のことも千瀬のことも追放して、」



「はじめから、

手放したつもりなんてないけど?」