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──突然だけど、七星家についてざっくり説明する。
主に生計を立てている父親は「証拠発見率200%」なんていう異名を持つ探偵である。探偵ってむやみやたらに関係を出していいんだっけ、とは思うけどたぶんまあ、大丈夫だなんだろう。
そして母親。
正直父親がどれだけ稼いでいるのかは知らないが、まあそこそこ大手の探偵事務所なんかをやってるんだから裕福な生活をしている方なんだろう。専業主婦だ。
ちなみに年齢は30代だって未だに言ってるけどそれなら一体千秋をいくつで産んでるんだよ。
……その千秋は、11歳年上の俺の兄貴。俺の彼女であり幼なじみの莉胡の父親のもとで、部下として働いてる。
支店でそこそこ偉い管理職やってるらしいけど、千秋が話そうとしないからあんまりわかってない。
既婚者で、奥さんは高校時代からの彼女。彼女は元保育士で、子どもができたためにいまは専業主婦。娘は2歳で、たまに会うけどまあ普通にかわいい。
……ああ、あと、千秋が奥さんと娘と暮らしてるそこそこいいマンションには、犬がいる。
だから千秋の家は3人と1匹、かな。俺の家族はそんな感じだ。まあ普通の家族だよね。
『ねえねえちーくん。
いつになったら彼女と会わせてくれるのー?お姉ちゃん未来の妹に会いたいよー?』
……そうだった。
電話中なんだった、と思いつつ、小さくため息。
「未来の妹ってなに」
『え、だってちーくんその"リコちゃん"と結婚するんでしょ?
そしたら義理だけど姉妹になるよね? え、まちがってないよね?』
たしかに間違ってはいない。
彼女が千秋の奥さんなんだから、莉胡と俺が結婚すればたしかに義理の姉妹だけど。
「絶対俺のこと揶揄う気なんでしょ」
莉胡がいままで彼女とその娘に会ったことがないのは、はっきり言ってわざとだ。
だってそんなに遠くに住んでないし。莉胡は疑ってないんだろうけど、俺が会わないようにしてるだけ。
『え、からかわないよー?
だって千秋も、リコちゃんはおひめさまなんだよって言うんだもん』
……おひめさま、ねえ。