それはちょっとどうかと思うんですけど。
わたしがずっと千瀬を好きでいたら、ちゃんと同じように好きでいてくれるってことよね?
……ううん、ちがう、か。
わたしよりももっと大きな愛情で、わたしを好きでいてくれる。
「……千瀬」
「なに? 文句は受け付けないからね」
「やっぱりわたし……
千瀬のこと、どうしようもないぐらい好きみたい」
千瀬の手のひらに、手のひらを重ねる。
なのに物足りなさそうに指を絡めて恋人つなぎしてくれる千瀬がたまらなく愛おしくて、十色のことを好きだったあの頃が嘘みたいに、千瀬しか見えない。
初恋が終わってなかったんじゃないかって、思わず錯覚してしまうぐらい。
千瀬のことが、たまらなく好きで、困る。
「……あのさ、
言っとくけど俺そんなもんじゃないからね」
「え、なにが?」
「約束を交わした時にはもうとっくに莉胡のこと好きだったし、千秋だって歳は離れてるけど一応幼なじみなのに莉胡は俺だけが幼なじみだって言うからかなり前からうぬぼれてたし、
十色さんと莉胡が付き合った時なんて俺がどれだけショック受けたか知らないんでしょどうせ。なのに俺のことは幼なじみだしだいすきだって言ってくるし」
「………」
「挙句の果てに付き合ってても俺のこと優先しようと思うから何度もしあわせになってほしいって思う気持ち揺らされそうになるし、何年も自覚してるけど自分の中で認められない気持ちに何回苦しんだと思う?
俺の前で平然と寝るし男の話するしあきらかに特別だって思わせるような距離感で接してくるし、幼なじみなんか嫌だったって言いたくもなるから」
「………」
「莉胡が幼い頃からずっと知ってるんだから俺が相手じゃなかったらお姫様役なんてやりたくないって莉胡が言った時本当は俺が変わりに王子様役やってあげてもいいって思ってたし、どうせなんも覚えてなさそうだから莉胡は俺が月のペンダントの約束した時に自分で俺のファーストキス奪ったことも覚えてないんでしょ。
言っとくけど莉胡がもしあのとき十色さんと付き合ってなかったら俺は中学生のあいだに好きだって言ってただろうなって何回も思ってるし莉胡のことかわいいとしか思えないし十色さんも織春も気持ちがあっただろうとなかっただろうと一時的だろうと莉胡の彼氏だったのほんとにむかつくし、」