車のバックドアを開けて荷物を積み込み、助手席に乗り込む。

なめらかに発進する車の中で千瀬に「買い物終わったからいまから帰るね」と連絡すれば、すぐに「了解」と短く返事がかえってきた。



「ちあちゃん……

そういえばあの月のペンダントのこと、どうして知ってるの?」



「え?

……ああ、ときどき親とか千瀬が送ってくる莉胡の写真で、いつもペンダントしてたでしょ」



「勝手にわたしの写真がちあちゃんに送られてたの」



なにそれはじめて知ったんだけど。

しかもいまの言葉を聞く限り、千瀬もしれっとちあちゃんに送ってたの。べつに送ってくれてもいいけど、どんな写真を送られているのかわからなさすぎて怖い。



「というか、莉胡知らないの?

あのペンダント、千瀬の手づくりだって」



「……え?」




……手づくり?

なにそれどういうこと?とわたしが頭の上によっぽどハテナを浮かべていたらしく、小さく笑ったちあちゃんは「内緒にしてたのかな」とつぶやいた。



「まだ俺が大学生だった頃、家からそう遠くないところで一人暮らししてたでしょ?」



「うん」



「莉胡と千瀬が小学生の頃の話だけど……

千瀬が莉胡に内緒であのペンダントをつくりたいからって、俺の家に頻繁に来てたんだよ」



「………」



「ほら、ある程度キットがあって、そこから作れるようになってたんだけどさ。

どう見てもあれ、小学生がつくったものには見えないでしょ? しかも、確か別の形から器用に月の形に変えてたはずだから、俺はてっきり彫金師目指してるのかと思ったよ」



あのペンダントは、千瀬がつくったもの?

でもあれは、わたしだけじゃなくて十色も持ってるものだ。どうして?と頭の中でぐるぐる考えている最中に。