「なんか……

月霞ってややこしいヤツ多いな~」



アルくんの達観したようなつぶやきに、苦笑い。

織春はなにか考え込んでいるようで黙り込んでいて、ひとまず買い出しを済ませようと必要な食材をカートに乗せたかごへと入れていく。



「ごめん、電話長引いちゃって。

結構買い物終わっちゃったみたいだね」



そう言ってちあちゃんがもどってきた頃には、8割方食材をそろえていた。

3人で話しながら回っていたからあまり違和感はなかったけど、たしかにちあちゃんがわたしたちと離れてから、結構時間が経っていたらしい。



「ううん。だいじょうぶだった?」



「うん、平気だよ。

重大な用事ってわけでもなかったからね」



「それならいいのよ。

準備する組が退屈してそうだから、さっさと済ませて帰りましょうか」




ちあちゃんはどうやら、例の別荘にも時折来るようで。

ここも来慣れているらしく、置いてある場所のわからないものはちあちゃんがほとんど教えてくれた。



「……結構買い物したな」



「まあ男7人もいるからねえ。

千咲連れてきてもよかったな〜」



ナチュラルに頭数に入れられているちあちゃん。

というのも、まさか送迎だけさせるわけにもいかず、お礼だと思ってご馳走になってとわたしが強引に引き止めたのだ。



一瞬、8人泊まりのペンションでお客さんって呼んでいいんだっけ?なんてことが、頭をよぎったのだけれど。

ちあちゃん曰く、わたしたちが宿泊するペンションもSECと関係のある会社なんだとか。完全に、考えるだけ無駄だった。



「あ……雨、やんでる」



「ほんとだ。

でも結構時間かかっちゃたし、やっぱり雨がやむまで待ってなくてよかったね」