変わってない……何も……
大好きなまま……
私だけを好きになってくれる相手がほしかった
だけど突きつけられたのは……
思いがけない現実
こんな時どうすればいいの?
なんだろう……この気持ち……
体の奥から何かが沸き上がってくるような
初めての気持ち……
やっぱりまだ好き
私じゃダメなの?
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高3冬……理沙
好きだった。だけど、いつも美緒の話ばかり……
「美緒の話しないでよ。美緒のこと考えてんのやだ。そんなの絶対にいやだ。お願いだから、私のこと好きになってよー」
「それでいいから、付き合ったんだろ?」
ずるい……そんな言い方……
「ひどい……」
「ひどい?どっちが?美緒のこと好きでもいいから、付き合ってって言ったのお前だろ?」
一緒にいるのに、まだ美緒のこと好きなの?もっと……もーっと……好きになってもらう……って思ってたのに……一緒にいたとしても、心を通わせることはないんだ。
こんなに振り回されるのも、あなたにしかならない。あなたのいいなり。
今までたくさん嘘をついてきた……本当は気づいてほしかった。私だけを好きになってほしかったよ……でも、結局別れちゃった
「私のなにがいけなかったのか、さっぱりわからない」
「猫かぶってんのばれたんじゃないの?」
「まさかー、完璧よ。」
「本性がばれて別れるよりよかったんじゃないの?」
あの子に会いに行ってる。やっぱりまだ好きだったんだ。むかつく。なんであんたがもてるの?
思い出したくなかった過去
今頃……あんな過去……
誰だって辛いことはある
冷静にならなきゃ……
私みたいな女は1人でいるのが
一番幸せなんだ
うん……そう……
きっとそういうことなんだ
彼には好きな人がいるみたい
恋ってうまくいかないね
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美緒……中学の思い出……そして、現在
新しいバイトが入った。理沙だった……なんで?
休憩室で……
「瑛太と別れたんだ。だから、前の喫茶店辞めたの。まさか美緒が働いてるとは思わなかったわぁ……」
「そう……なんた……」
「もしかして、瑛太とより戻したいのー?」
「いえ……それはない……けど……」
「ねぇねぇ……あそこの積の人……好きなの?」
気になってる人を指さした。何も言わなかった……
「そうなんだぁ……でも、やめたほうがいいわよ。友達と話してるの聞いたんだけどー、あの人好きな子がいるんだってー。初恋の相手で、何年も片想いしてるんだってー。残念だったねー。」
他のバイトの子もきた
「そうなんだー。私も狙ってたのに、残念。」
彼……人気あったんだ……
「美緒ちゃんって、中学の時、好きな人からこんなブス好きじゃないって言われたの?」
思い出したくなかった中学の思い出……
「好きな人じゃなかったけど……」
これ以上話していたら、涙が出そう……
「ブスなのに、彼を狙うとか……いい気になんなよ」
「ブスのくせに、彼になれなれしく話しかけんなよ」
怖いんだけど……
そんな時、バイトリーダーの人がきた。
「何騒いでんの。」
理沙が「桜井さんが、私の元彼のことで……」と、泣き出した。私……何もしてない……のに、2人に話を聞いた後
「桜井さん、ちょっといいかしら……」
「他の人と仲良くできないの?」
「そんなことは……」
「新しいバイトも入ったから人も足りてるし、辞めてもらっていいかしら?」
「わかりました。今までお世話になりました。」
美緒は何も悪くないのに……バイトを辞めることになってしまった。隣の男子の休憩室で聞いていた人がいたのは、この時は知らなかった。
俺は不器用ながらも
どこかに本当の恋が落ちてないか探してた
目標を見つけると人は幸せになれる
目標を持ち続けることが大切
だけど目標を見失いかけた時
彼女に出会った
本当のオレを見つけてくれた
うれしかったんだ
おかけで元気が出たよ
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21才……大輔
パティシエになって、3年……
イケメンパティシエとか言われて、雑誌に載った。店も人気が出たけど、頑張って作ったケーキよりも、イケメンってことばかりがとりあげられ、ケーキのことなんて……自信をなくしていた。
もう辞めようかと思って、店長に話しに行こうとしていたんだ。ちょうど、バイトの面接をしていた。なんとなく聞いていたら、志望動機が「ケーキが美味しかったから。」「そうなんだ。どれが美味しかったの?」どうせ……ケーキのことなんて、いえないんだろ……ひねくれていた「モンブランが一番美味しかったです。コンビニで買うのと違って、すごく美味しかったです。」ちゃんとケーキ味わってくれてたんだ。
あれから、一緒に働き始めた。いつも一生懸命頑張ってるのを、見ていた。
22才……
隣の女子の休憩室での話が聞こえてきた。
美緒ちゃんが色々言われていた。女って、こえー……って思っていたら、バイトリーダーがきた。これでおさまるのかと思っていたのに、美緒ちゃんが辞めるように言われていた。
店長に聞いたら、美緒ちゃんが問題起こしたから、辞めてもらうことになった……って、なんでだよ……美緒ちゃんは何もしてないのに……
「美緒ちゃんは、何て言ったんだよ」
「わかりました。今までお世話になりました……って」
見る目のない奴らばっか……
「そうなんだ。じゃ、俺もやめるわ。」
「何言ってんの……あんたがやめたら……」
「パティシエは俺以外にもいんだろ……じゃ」
駅に向かって歩いてる美緒を見つけ、声をかけた。
「大輔さん、仕事中なんじや?」
「美緒ちゃんバイトやめんの?」
「もう聞いたんですね。」
「俺も辞めてきちゃったんだよね。」
「え、なんで?」
「休憩室での会話聞いていたんだ。あれで美緒ちゃんがやめさせらるなんて、納得いかないから。」
「聞いてたんですね……」
「なんで言い訳しなかったの?」
「私は悪いことなんてしてない。だけど、信じてもらえなかった。あそこで言い訳しても、変わらないと思ったから……なんで、泣いてる方をしんじちゃうんだろう……」
「本当……見る目ないよな。俺、誘われてる店あるから一緒に行かない?」
「ありがとうございます。でも……」
「もしかして、迷惑だった……かな?」
「そんなことはないです。うれしいです。」
「でも、今のとこみたいに人気の店じゃないけど……」
「大輔さんが作ったケーキ食べたら、人気でますよ。」
相変わらず、嬉しくなる言葉を言う子だな。彼女がいれば頑張れる。
そして、2人で友人のやってる店に移ったんだ。
彼女といると
何もかも忘れて
幸せになれるよ
彼女がいてくれるから
オレは頑張れる
何より大切な人
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春……大輔
あれから、一緒に働いてる。だけど、美緒ちゃんがバイトを辞める。卒業したら、就職するんだったら……しょうがないね。
もうこれからは会うこともなくなる。心にぽっかり穴があいたように……
これで最後なんて、イヤだ。失恋を覚悟しつつも、告白した。
「ねぇ、オレと付き合わない?」
「え?」
「他の男なんて眼中になかったと思うけど、俺はずっと好きだったよ。俺だけを見てよ。オレにしなよ」
「大輔さんなら、女の子にもてるんじゃないの?なんで私……なの?」
「あーもー……なんで気づかないの?ずっと好きだったんだよ。じゃなかったら、前の喫茶店を一緒にやめたりしない。」
「私でいいのなら……いいよ」
「え?本当……に?」
意外な展開に……
「私も……大輔さんのこと好きだったから……」
「俺……何とも思われてないと思ってた。」
「私だって……」
好きって言葉でこんなに満たされるなんて……
好きでいてくれるのがわかったから、ぎゅっと美緒を抱きしめた。
平和な日々
だけど終わりはやってくる
途方にくれることもあるけど
いつも幸せを求めてた
本当はこれからもずっと一緒にいたかった
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春……美緒
バイト最後の日。いつも幸せだった。その幸せの中には、あなたがいた。でも、それも今日が最後なんだね。本当はもっと一緒にいたかった……どうせ、私のことなんて、そのうち忘れるんでしょ?
そんな時、大輔から告白された。本当……に?信じていいの?あぁ……そっか……好きって言葉でこんなに幸せになれるんだ。
ようやく重なった想い。抱き合う2人……
恋って素敵だね
キミがいてくれたら
どんな時も乗り越えていける気がする
キミがいてくれたら
がんばれる
キミといる時は幸せ
オレはすぐに舞い上がっちゃう
期待しちゃう
これからが楽しみだね
幸せだけど悩みは尽きなくて……
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今まで仕事で一緒にいたけど、2人の関係はかわった。
仕事が終わってから、2人で帰る。初めてのデート。つないだ手を離さない。ただ一緒に帰るだけ。それでも幸せだった。でも、俺の方が美緒を好きってわかってるから、不安になる。
前とは違って、今は美緒って呼んでみた。
「美緒……」
「ん?なーに?」
「美緒が好きになってくれた俺のままでいられてる?」
「ウーン……前とは違う……かな……」
えっ……
「あの時は、憧れだったけど……今はもっと……もっと好きになったよ。」
少し頬を赤らめながら言う美緒。美緒しかいらない。だから、ちょっとだけ……
ぎゅっと抱きしめた。俺の胸に顔を埋める美緒。照れくさそうに笑った顔が……今まで見たどの笑顔よりも可愛かった。
ずっと彼女を作らなかったから安心していた
それなのに彼女を作った
告白できずに後悔していた
タイミングがわからなくて……
あの時勇気を出せたら……
このチャンスを逃したら後悔すると思った
一緒にいたのに私を見もしないで
あなただけが幸せそうにしてるなんて
許せないでしょ
なんで私ばっかり……
あなただってもっと苦しめば……
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バイトリーダー瑞穂……の後悔、そして……
大輔が好きだった。あの時、あの2人の策略にのった。大輔が美緒をみているのに気づいていた。私は大輔を見ていたから……だけど、告白できなかった。そんな時、美緒を辞めさせる作戦をたてていた話にのってしまった。美緒がいなくなれば、大輔との恋が始まると信じていたから……それなのに、大輔も一緒に辞めてしまった。2人が辞めてから、店も客がこなくなり、ついに閉店してしまった。2人が一緒に働き始めた喫茶店。私も行きたかったけど、もうバイト募集してないと言われた。それでも食いさがらず「あの子より、私の方がバイト経験長いし……」美緒を指差して言った。「美緒ちゃん、よくやってくれてますよ」結局、バイトできなかった。なんでよ……
美緒が就職して、バイトをやめると聞いた。やっと、一緒に働けると思った。思ったとおり、働けることになった。どれだけたっても、色あせない愛しい想い。これで、大輔に……告白すれば……
ウキウキしながら、バイトに行った初日……
マスターと大輔が話しているのを聞いて、愕然とした。
「大輔、ついに美緒ちゃんと付き合うのか……」
「なんで知ってんだよ」
「2人がデートしてたのを見たお客さんから聞いたよ。」
「見られてたのか……」
仕事終わりに店に美緒がきた。私の前で2人で楽しそうに話しているのを見て……
「何よっ……私をバカにして……」
「バカにしてるのは、お前だろ。」
バシッと、大輔の頬をたたいた。
「美緒なんてやめて、私と付き合ってよ。何してほしいか言ってよ。何でもしてあげるから……」
「何でもするんだ。だったら、2度と俺と美緒の前に現れるな。」
私……全く相手にされてない。
あの時のことがなければ、違ったのかな?本当に好きだったのに……きっと、あの時のことすごく怒ってるんだ。あんなことしなければ……
今度こそって思った人にまで浮気されて
自分が悪いとしか思えない
こんなことの繰り返しなら
もう恋なんてしないって思った
だけど恨めない
短い間だったけど楽しかったから
私はそれで十分
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仕事終わりに、美緒が喫茶店に行く途中……
瑞穂に声をかけられた。
「久しぶりね。あなたに話があるの。」
「え?話……?」
「そうよ……」
近くのファミレスに入る。
「話……って……」
「私……大輔と付き合ってるの。あなたは大輔を好きなの?私は大輔を愛してるわ。」
2人が喫茶店で一緒に働いてるのを知ってから、イヤな予感はしていた。あのよそ見もしない大輔が……それは浮気っていうより、本気ってことなのかもしれない……
「それなら、私じゃなくて大輔さんに……」
「大輔は、あなたのことほっとけないって……こんなことあなたに言うのは間違ってるかもしれないけど……」
ほっとけないのは、優しいから……?
彼は私に好きって言ってくれたけど、彼の好きはひとつじゃなかったんだね……
彼にメールした
「もう、会うのやめよう。色々ごめんね。幸せになって」
少しの間だったけど、幸せだったから……あなたが幸せになることが私の幸せだから……
すぐに返信がきた。
「別れたいって、言ってんの?」
ち……違うけど……本当は、彼から別れを告げられるのが怖かったから……
「うん……もう、ほっといて……」
こんなことばかりなら、離れるよ。離れて忘れるよ。
本当に私って……男運ない。
「もう絶対に彼には会わないから、彼を幸せにしてあげてください。」
コーヒー代の500円を渡して、席をたった。
会う時間が減ってしまったけど
オレのそばにいつも彼女はいてくれた
何があったの?
ねぇ……教えて……
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美緒が仕事を始めてから、会う時間が減った。だけど、今日は会う約束をしていた。ウキウキしながら、美緒がくるのを待っていた。だけど、なかなかこない……
携帯が鳴った。美緒からだ。仕事のびたのかな?とおもって、見たメール「もう会わない」今、メールの文字が理解できなかった。「別れたいって、言ってんの?」「うん」なんで急に……俺、なんかした?考えても、何も思い浮かばない。まさか、他に好きなヤツできた?