駅から延びる歩道橋の上を、オレはダルそうに
歩いていた。

下を向いて、ダバコをくわえながら歩いていた
オレの視線に
飛び込んできたのは
車椅子に座っている
女の子。

光の反射で表情も認識
出来ないその女の子
何故か判らないけど、
その子から視線を
逸らす事が出来なかった

徐々にその子との
距離が縮まりその子の
表情がしっかり認識
出来るようになった。


その子は ひとり
橋の上で 泣いていた…


通りすがりの人に
ナンパだと勘違いされるのもイヤだったし…
いつもなら面倒くさくて
無視して通り過ぎるのに

気になって…
ほっとけなくて…
声をかけてしまった。


『 大丈夫 ? 』


『 ……… 』


その子からの返答は
なかった。
内心―なんだ コイツ―
って、ちょっと
イラッときた。

もう一回だけ声をかけて
それでも返事がなかったら、ほっといて帰ろって
決めて声をかけた。


『 どうしたの ?
大丈夫 ? 』


『 ……… 』


やっぱりと言うべきか…
返答はまたしても
なかった。

もういいやって
歩き出そうとした時
微かに本当微かに
声が聞こえた気がした…
とっさに振り返り
聞き直してみた


『 えっ!? 何?? 』


何も返ってこない…
気のせいかと再び
歩き出そうとした時
今度ははっきりと
確かな言葉が耳に
飛び込んできた。


『 …タ…シ……
…シ……ヌ…ノ 』


― 死ぬ ― ???


やっとしゃべったかと
思ったら…
何言い出すんだ
いきなり!?!?

心の中では
頭おかしいんじゃねぇって思ってたのに…
オレはどうしても
その場から動けずにいた