歩いていると、かつての虐めっ子が向こうから来るのが分かった。

(まずい。)

忍ばせていた、あの、美鈴を殺した刃物を強く握りしめる。

(どうか、気づかないで!)

その願いは叶う事の無いことを、千弦は自覚していた。
だからこそ、信じたくはなかった。

『あ!いたぞ!』

『もののけ姫だ!』

下を向いていたはずなのに気がつかれた千弦は、まずいと思った。