少し歩くと上に続く狭い階段があって、
少しずつ階段をあがっていくと
『みてみ』
先に上がった彼がそう言った
そこは小さな丘のようになっていて
1本の大きな桜の木があった
その瞬間そこに広がる景色に目を奪われた
奥の方に見える海に沈んでいく夕日
今日から住む街全てが見下ろせていて
もちろんあの長く続く桜並木も
自分の部屋で見た景色と全然違くて
大きくて、広くて、綺麗で、
どうしてこんなに綺麗なんだろう
この街に来て、何度感動しただろう
何度、涙がでそうになっただろう
なんて素敵な場所なんだろう
『ここ、俺の好きな場所』
そう言った彼に
『また、きてもいいかな』
そう聞くと、彼は嬉しそうに
〝秘密ね〟
と言って笑った