階段を降りても離れないその手が
だんだん恥ずかしくなって来て

だけどなんだか嬉しくて、
何も言わずに少しだけ手を握った


『また会おうな』


そう言った樹に〝うん〟と返した

なんだか帰るのが惜しくて、
初めての感覚に少し戸惑いながら
先を歩く樹の背中をみていた


『そんな寂しそうな顔すんなって』


なんだか見透かされたみたいで、
恥ずかしくて悔しくて


『そんな顔してないし』


なんて強がって。

そんな感じでたわいもない話を続けていると
あっとゆうまに家について、


『ありがとね、送ってくれて』


そう言うと、
〝おう〟といった樹は
〝またな〟といって帰っていった


なんだかあっけない別れに
浮かれていたのは自分だけだったと
思い知らされる


家に入ると、バタバタと聞こえて
お母さんが玄関まで走って来た


『もう!どこいってたの!心配したじゃないのも〜〜身体大丈夫なの?』


『うん、大丈夫。ごめんね、遅くなって』


なんていってるとおくから声が聞こえて来て


『美桜、何食べたい?』


と、お父さん。
そんなお父さんにお母さんは、
〝も〜お父さんたら甘いんだから〟
なんて言いながらリビングに入っていった