「だって、私が一度でもアナタのことを助けたら、アナタは私のことを信頼してくださるでしょう?

だからよ。

ねぇ、知っているかしら。

恐怖と涙と絶望は、最高のスパイス。

“肉”をより美味しくさせるのよ。


今、殺される恐怖に囚われ、友人が殺されたことで涙を流し、私に裏切られたことに絶望しているアナタ……。


きっと、食べたら最高に美味しいわ。


でも……そうね。

八衣を殺すのは、やめていただきたいわ」


紫織ちゃんがそう言った。

もしかして…私を助けてくれるの?


「は……?

何言ってるんだ、紫織お嬢様」

「だって、肉は生きたまま食べるのが一番美味しいんですもの。

今、この肉は最高に美味しいときなのよ。

殺してバラバラにして調理するのを待っていたら、まずくなるじゃない」