もうすぐ、クリスマス。
先生に何かあげたいな。
そうは思っても、迷惑かな、とか、立場的にまずいかな、とかいろいろとマイナスな事が頭に浮かぶ。
「でも、渡したいよぉ」
ため息と共に声が出た。
「何を?」
「え?」
びっくりして顔を上げると、幼馴染の直哉がいた。
私ははっとして、学校に居ることを思い出した。
「何か渡すの?」
直哉が聞いた。
「なんでもないから。直哉には関係ない」
私はグッと口を閉じてその場から立ち去った。
しまったな。
学校では気を付けないと。
塾の先生に恋してるなんて知られたら...。
また、ため息が出る。
「あ、奈々」
廊下から声がした。
そこには、高校生からの友人のまおが立っていた。
「まお!」
「奈々聞いてー、私クリスマスまでに好きな人に告白する‼」
「え、まお好きな人いたの?」
「うん」
「え、え、え!だ、誰!?」
「...知りたい?」
まおが真剣になる。
それはそれは、知りたいですとも。
私はコクコクとうなずくと、まおは私の耳に囁いた。
「川上先生」
え、先生...。
私はびっくりして体が固まった。
「...。変だよね、先生が好きなの。ごめんねこんな話して...」
まおはどうやら何も言い出さない私に、偏見があると感じて謝ってきた。
「まお!違うよ!全然変じゃない‼」
私はガシッとまおの肩を掴んだ。
そして、すぅーっと息を吸い込んで、
(この時、顔やばかった)
「私、塾の先生好きだから」
とまおの耳元で言った。
「え!」
まおが私を見つめる。
私はまおを見つめ返す。
「変じゃないよ!」
そういって、私は笑いあった。