俺様上司と私の秘密の恋。







逆方向と伝えると、部長は口をあんぐりあけていた。





「おまっ……なんで、早く言わねぇんだ」





「すいません、なんも考えないで歩いてたもんで、周りなんて見てなくて…気づかなくて……
なので、遅くなってしまうのでここで大丈夫です」





と、伝えると部長はため息をついた。





ため息つかないでください。





「バカだな、雛沢って。
ほら、行くぞ」





そして部長は反対方向に向かって歩き出した。





本当に家まで送ってくれるの?





こんなの女子社員が見たら………





想像するだけで震えてきた。











あ、そういえば!!!





「あ、あの………」





「なんだ」





「お金……私の分立て替えてくれましたよね?
払いますね!!」





「あ〜そんなんいい、いらない」





「そうはいきませんよ!」





「上司が部下に奢るのは当たり前だ」





うっ………それを言われたら。





「それに、男が女に払わせるなんて
男のプライドがすたるだろ」





そんなことまで言われたら…………





「あ、はい。すいません。
では、お言葉に甘えて……ありがとうございます」





って、言うしかないじゃん。











「その代わり、今日家に泊めてくれ」





は?え?泊めてくれ?家に?





「えっ………」





「もう終電なくなるんだ。帰れないだろ?俺」





だから!!!送らなくていいですって、言ったのに。





「それは………」





「別に襲わねぇから。
寝るだけだ。いいだろう?」





お、おそっ!!!





そういう問題じゃなくて。





いや、そういう問題でもあるけどさ。





どうしたらいいのよー!!!!












結局、家についてしまった。





あげてしまった。





「雛沢の家、会社から近いんだな」





「あ、はい。
よく寝坊してしまうので
近くないとと思いまして………」





朝に弱いからわざわざ会社の近くに引っ越してきた。





「朝に弱いんだな」





「はい、苦手なんです。
ってか、本当に泊まる気ですか?」





本当に泊まる気でいるんだろうか。












「当たり前だろう。
お前を送って終電逃したんだから」





確かにそうなんだけど。





「そうですか」





なんか断るのも申し訳なくなってきたし
今日だけ泊めることにしよう。





「さて、飲み直すか」





「え?今からですか?」





「別にいいだろ?明日休みだし。
中原さんの口ぶりだとお前
酒強い感じだし」





まぁ、確かに明日休みだし。





お酒も人よりは強いほうだと思うけど。





男と女が2人きりで家にいてお酒飲んで
何もないわけない。











「ふっ。取って食ったりしねぇから安心しろ」





なっ!!!




「別にそんなこと思ってません!!!」





「そうか。なら、いいだろ?」





「ま、まぁ………」





ま、いっか。





こうなったらとことん飲むしかない!





私は冷蔵庫からビールを出して部長に渡した。





「サンキュ」





そして飲み始めた。





飲み始めてからはペースがあがっていって、1時間で5缶あけていた。











さすがに酔ったかも。





居酒屋でもほろ酔いだったし。





「さすがにペースあげすぎじゃねぇか?令奈」





「これくらい、まだ平気です。
ってか今………令奈って呼びましたー?」





酔ったせいだろうか。





部長が私のことを、
令奈って呼ばれた気がした。





「だってお前、雛沢令奈だろ?
プライベートくらいいいだろ?別に」





「そ、それは………」





いいんだろうか。





まぁ、でも、今日だけだしいいか。











「まぁ、今日くらいですしね、2人で飲むの。
さ!もう1本飲もうかな〜」





そう言ってから冷蔵庫に行きビールを出そうとしたら





えっ。





「ビールない………」





「そうか。したら買いに行くか?」





「あ、えっと………」





わざわざ買いに行くのはめんどくさいしなぁ。





あっ!あれがあった!





私はワインを取り出した。





「次はこれにしませんか?」





「ワインか。よくこの家に酒たくさんあるな」





実は私、お酒大好き。





だからたくさんおいてあったり。











「お酒大好きなので、よく1人で飲むんです」





そして私はグラスを持っていき、部長の分と2人分ついでワインを飲み始めた。





それから2時間が経過。





開けてなかったワインはすっからかんになくなっていて、私は酔っ払っていた。





「部長〜いつも怖かったんれしゅよ〜
れも今日こうらって飲めれよかっられす〜」





「令奈、飲みすぎだ」





「そんらことないれすよ〜?
まらまら飲めましゅよー」





私はベロンベロンに酔っ払っていて呂律もまわってなかった。





「令奈、やめろ」





「ぶちょお!眠くなってきましら〜」





「そうか。ベット行って寝るぞ」





そして私はそこで意識がなくなった。