「俺、職員室に寄らないといけないから」
「職員室、どこか分かる?」
「案内してくれるの?」
もちろん、とわたしはうなずいた
「手を繋いでくれる?」
耳もとでささやかれた
わたしはふと顔を見上げると、爽やかな笑顔の誠が何食わぬ顔でいたのを見た
まさか職員室に手を繋いで行く男女はいないだろう
わたしの聞き間違いだと思ったその瞬間、手を握られてしまった
「迷子にならないように手を繋いでよ、イヤ?」
それには何も答えずに、私は手を振りほどいていた
「…だよね、兄貴との方がいいよね」
そんな寂しい声を背中で聞いて職員室へと誘導した


