「舞奈!?」

遅れて来た揺花が私に駆け寄ろうとするが、それを手で制す。

そして更に食ってかかろうとする落合さんに私は問う。



「あなた、兄弟は?」

「そんなこと今はどうでもいいです!」

「私はあなたの質問に応えたの。

あなたも応えるべきじゃない?」

「…妹がいます。」

彼女が相変わらず素直に、でも面白くなさそうに応える。



「その可愛い妹さんがあなたに相談事をしたとします。

妹さんの人生に大きく関わる問題で、彼女の心には耐えられない辛いことです。

それを信頼する姉に話すうちに泣けてきてしまった。

そんな時あなたならどうします?」

「……」

「抱き締めて胸の中で気の済むまで泣かせてあげるかもしれません。」

「でも先生は…!」



「先生は私『たち』のことを妹のように思って下さってるわ。

親身になって話を聞いて下さり、時間を割いて手助けして下さり、時にはそうして包みこんで下さる。そういう方よ。

そんなことも分からないで初原先生はこうだなんて語る資格ないんじゃないかしら?」