「南条…!」

パソコンの画面から顔を上げた先生と眼が合うと、先生は心底驚いた顔をした。



「何しに来た…?」

「先生に逢いに来たの。」

私は何事もなかったように笑って見せる。



「帰りなさい、岩瀬先生に見つかったらどうするんだ。」

「私は別に構わないよ。」

「……」



僅かに間があってから先生が眼を逸らす。



「…俺は困るよ。」



「先生に、進路のこと聞いてもらいに来たの。」



「それは村田先生の仕事だろ。」



(仕事…)



先生はやっぱり、私が生徒だから親身になってくれただけなのかな?

仕事だから優しくしてくれただけなのかな?



それでいい。

私はただ先生を好きでいたいだけだから。



でも。



学校から「手を出すな」と命令されれば、先生は仕事だからその通りにするのかな?

仕事だから…