「それはどういう状況でしたか?」



「はい。

私が南条さんの進路の相談を受けていました。

話の中で多分気持ちが昂ったんでしょう。
彼女が泣き出してしまったので落ち着かせようと、肩を抱きました。」



「ということなんだけどね、南条君、どうですか?」



「…はい。間違いありません。」

私がおずおずと応える。

正直、「肩」どころの話ではなかったけど…



「何か無理に、ということは?」

「それはありません!絶対に!!」

岩瀬が尋ねてきたが、私ははっきり否定した。

私から先生に飛び込んで行ったことこそあれ、そんなことは決してない!



「やましい関係というのもない、ということで良いですね?」

「はい!」

私は岩瀬の冷たい眼を見て言い切る。



「分かりました。」


良かった。

先生にこれ以上迷惑をかけなくて済む…



が、そう思うも束の間、更に岩瀬は続ける。



「では南条さん。
どうして初原先生に進路の相談をしたのですか?」



「あ…」