「それが大学4年の時、教育実習があってね。近くの高校に行ったんだ。

そこで愕然とした。

そこそこできる生徒たちがさ、全然喋らないんだよ。」

先生は机に肘を突いて両手を組み、急に真面目な表情になる。



「日本人の真面目さ故なんだろうな、完璧に自信がないとガツガツ喋るとかはしないんだよ。
ましてや外国人相手になんて尚のこと。

俺海外育ちだからさ、なんか違うな、と思って…

これじゃダメだと思ったんだ。

片言でもいい。でもまずコミュニケーション取ってみたい!って思えることが大事だ、と伝えたいと思った。」



先生は熱く話した後、

「それが俺が教師になった切っ掛け。」

と、少し恥ずかしそうに笑った。