翌日もグラウンド脇の木陰で私が昼食を摂っていると、

「よぅ。」

と言って先生が現れた。



はっきり言って、期待してた。

期待してここに来ていた。



「先生、こんにちは。」

私が小さく手を振る。




「今日も暑いなぁ。」

と先生が言う。

「暑いなぁ。」なんて言いながら先生の笑顔は爽やか。



「ホント暑いね。」

「なんでこんな暑いのに南条は外で飯食ってんの?」

「なんでかな?ずっと部屋にいると黴が生えそうな気がするから?」

私は一口紙パックのジュースを飲む。

「そういう先生こそ暑いのになんで出てきたの?」

「俺も虫干ししたい派なんだよ。

じゃなくて…」



そこまで言って先生は手にしていた本を私に差し出す。



「今日は南条にこれ貸そうと思って。」



それは中学生向けの職業紹介本だった。



「中学生向けだけど、これなら勉強で忙しくてもさらっと読めるからさ。

気に入ったとこだけ読んでもいいし。」