「どうしたら…見付かるかな?私、何からやったらいいんだろ?」

「ゆっくりでいいんだよ。考える時間も価値があるから。

無気力でやり過ごす時間より何倍も尊い時間だから。」



そう言って先生は微笑む。

心に染み込んでくるような微笑みで。





「南条のために力になりたい。俺に協力させてくれる?」





(先生が?私の、ために…?)



思わず私の瞳に熱いものが溢れそうになる。

だって、今まで誰も私に言ったことのない言葉を、今一番愛おしい人が言ってくれるのだから…



慌てて頭上を見上げると青々とした葉の向こうに夏の太陽が煌めき、私に降り注ぐ。

それが瞳に滲んで視界が真っ白な光で満ちた。



「眩し…」



眼を閉じた拍子に涙のひとしずくがキラリと零れて落ちる。



「南条…?」



続けて落ちそうな涙に耐える私に先生がゆっくりと手を伸ばす。

そして触れるか触れないかくらいの幽かな手触りで、指の背で私の頬を拭った。

その瞬間、耐えていた私の涙が堰を切ったように溢れだす。