「は?」
「何、別格って!?」
意外な回答に俺とにっしゃんが食い付く。
「神川は俺にとって『理想の娘』像なんだよ。」
『理想の娘』?
「俺が神川に始めて逢ったのはアイツが中学に入った時、アイツがまだ12歳だった。
俺は神川の担任だったんだ。
あぁ、その時南条も一緒だったな。」
先生は遠い眼をして言った。
「うちの学校は良いトコのお嬢が多いけど、中でも神川は一目見た瞬間から群を抜いていると思った。
成金ぽい派手な子たちとは全く一線を画してて、良い教育を受けて大切にされてきた育ちの良さが滲み出ていた。」
礼儀正しく、真面目で、穏やかで、何事にも熱心で。
決して派手ではなく、かといって暗いわけではなく。
級友にも優しく公平で、誰からも愛され一目置かれるような。
容貌の可愛らしさ、根っからの明晰さもさることながら、
精神的に美しく優秀で、いつもにこにこしている女の子。
まるで、風にそよいで揺れる一輪の花のような─
先生は神川をそう語った。