自宅の最寄りの駅に着くと、



「よぅ。」



清瀬くんが待っていた。



「何その顔。」

清瀬くんの言葉にどきっとする。



『何か』あったこと、悟られちゃだめだ。



「あ…ちょっと委員会で揉めちゃって…」

えへへと笑って見せる。



「舞奈は生真面目だからな、ガキの頃からだけど。

あんま頑張んなよ。」



清瀬くんの手ががしがしと私の頭を撫でる。

その手があったかくて、心が痛む。




「…ん。」




当たり前のように清瀬くんが私の手を握る。



「舞奈、どう?土日。」

昨日も言われてた。土日デートしよう、って。



「うん…

やっぱ勉強したいから、やめときたいかな…」

「なんだよ。

今言ったばっかじゃん。生真面目に頑張んなって。」

「でも来週から学校も試験だし。」

「あ!じゃあさ…」



清瀬くんが何か良いことを思い付いたとばかりにパチンと指を鳴らし、その指で私を指す。



「塾の自習室で一緒に勉強しよ!

で、帰り飯食ってこ!それならどう?」

清瀬くんは眼をきらきらさせて私を覗き込む。



(そんな顔されちゃ断れないよ。)



「…分かった。いいよ。」