当たり前のように手を繋いで歩く帰り道。

家の前まで送ってくれた清瀬くんが言った。



「舞奈、土日会える?

今度はがっつりデートしよ!」

「んー、でも勉強もしなきゃだしな…

考えとく。」

「ん。また明日教えて。」



清瀬くんに手を振り、自宅の門を潜る。

自分の部屋に入り、机にスクバを置くと清瀬くんに貰ったくまちゃんが眼に入った。

くまちゃんのほっぺを人差し指で撫でる。



(清瀬くん…)



『そんなとこも好きだけど。』



私を『好き』だと言ってくれる清瀬くん。



そして清瀬くんのことを思うと、同時に脳裏に先生のことが閃く。



『当たり前だろ。

教え子好きじゃない教師とかダメでしょ?』




先生の言う『好き』は清瀬くんの『好き』とは別物の『好き』で─



清瀬くんといると、私を特別な気持ちで好きでいてくれているのが分かる。

それに、清瀬くんといると確かに楽しいんだ。