その後も私はボタンをバンバン叩き、そして曲が終わった。

画面が切り替わり得点が出る。



「嘘…」

「よっしゃ!」



僅かな差で清瀬くんが勝った。



(えぇ…どうしよう…)



清瀬くんの様子を上目遣いに窺い見ると、清瀬くんはにっこり笑っている。



「約束だかんな。後で楽しみにしてて。」



うわぁ…もう緊張で息が詰まりそうだよ…



項垂れる私の頭を清瀬くんがこつんと叩く。



「そんな顔すんな。マジ傷付くから。」

「…ごめん。」

「じゃあ良い顔して?プリ撮るから。」



清瀬くんはまた私の手を取り店内を歩く。

と、

(あ。)

途中で私が『あるもの』に眼を惹かれた。



「好きなの?」

気付いた清瀬くんが訊ねる。

「うん。」



それは最近好きなくまちゃんのキャラクター。

クレーンゲームの中のキーチェーンのくまちゃんと眼が合ってしまった。



「あの可愛い顔でふてぶてしい態度が良いよな、あのくま。」

「うん。でもなかなかくまちゃんのグッズ売ってるとこないんだよね。」



そう言うと、清瀬くんの足が止まった。



「欲しい?」

「え?」

「あの辺のなら2回あれば取れるよ。」

ケースの中を覗き込んで清瀬くんが言う。