ゲームが終わると清瀬くんが

「舞奈リズム感あるね。」

と誉めてくれた。



「清瀬くんはやらないの?」

「俺?言ってんじゃん。俺音楽ダメなんだよ。」

「そう?」

「試しに勝負してみる?」



私が首を傾げると清瀬くんはやおらそんな提案をした。



「勝負?」

「リズムゲーで俺が勝ったらキスしよう?」

「えぇっ!

無理無理無理!」

「そんな全力否定すんな。普通に傷付くわ。

大丈夫。俺苦手だって言ってんじゃん。」

「でも…もしもってこともあるもん…」



すると清瀬くんは私の頬をつつく。

「ここなら?」

「えー…」

「わがままだなぁ。」

「どっちが!」


今度は私の前髪を掬い上げ、おでこの真ん中に指先を当てる。


「ここは?」

「…うぅ。分かった。」



ここは負けられない!



「曲は舞奈が決めていーよ。」

私は自分が歌い慣れた曲を選ぶ。



「絶対負けないんだからね!」

「だから傷付くっての。」



画面に流れてくる音符を一心に見つめる。

ついついボタンを押す手に力が入る。

バンバンとボタンを叩く私に清瀬くんが話し掛ける。



「舞奈怖ぇえ。」

「あ、ごめん。」

「でも可愛い。」

「!

余計なこと言わないでっ!間違っちゃう!」

「間違っていいよ。」

「嫌、絶対。」

「お前さりげなく酷いよね。

そんなとこも好きだけど。」

「もー!黙っててー!」

「はいはい。」