清瀬くんはゲーセンに着くと、

「舞奈に出来そうなのあっかな?」

と騒がしい店内を奥に進んで行く。

そして途中にある一台の可愛らしい筐体を指した。



「これなら出来っしょ?」

「あ、つむだ!」

時々やってるスマホゲームのアーケード版だ。

「わぁ!つむが大きい!可愛い!!」


私が眼を輝かせると清瀬くんは筐体にお金を入れる。

それから隣の椅子に座り、ゲームをする私を見ててくれた。



「舞奈意外と上手いのな。」

「これはスマホでやったことあるから。」

「リズムゲームとかは?」

「音楽に合わせてステップ踏むやつ?それは無理だよー。」

「ステップ踏まなくていいよ。ボタン押すだけのやつもあるし。来てみ?」



今度はリズムゲームのコーナーに連れて行かれる。



「これなら舞奈の知ってる曲もあると思う。」

「ホント?…

あ、この曲好き。」

「じゃやってみ?」

「うん。」



私がお金を入れると音楽が流れ出す。

スマホの着信音にしているお気に入りの曲。



私はリズムに合わせてボタンをぽんぽん押す。

清瀬くんは相変わらず隣で私を見ている。

画面じゃなくて、私を。



「あんまり見られると緊張するよ。」

「うん。緊張させてんの。

俺にドキドキしちゃってよ。」

「えー!もうっ!」

清瀬くんは楽しそうに笑う。