このノリ、ちょっと付いてけないな…



そう思っていると、一人の女の子が別の女の子に向かって、

「奈穂子もいい加減なんか言いなよ?」

と声を掛けた。

奈穂子と呼ばれた女の子は他のみんなの楽しげな様子に比べて表情なく、テーブルの奥の端の席に座って頬杖を突いていた。



(あの子…塾で清瀬くんにくっついてた子…)



「別に…あたしは…」



奈穂子ちゃんは私に眼を向け、一瞬眼が合うとふいと逸らした。



「ユウトが好きな子なら、別にいいと思う…」



あぁ…

彼女は清瀬くんのこと、ホントに好きなんだな…



それに気付くとなんだかとても罪悪感を感じて、胸が痛む。



「んじゃ、俺ら行くから。」

「あ…」



清瀬くんが私の手を引いて席を立ち上がる。



「えーユウト来たばっかじゃん?」

「お前らいたら俺らイチャイチャできねぇじゃん。

ほら、さっきの続きしなくちゃだし。なぁ舞奈。」

「えっ!」



思いっきり退く私にまたみんなが笑う。



「ユウト、マジやべぇー。」

「あんまりガツガツしてると嫌われちゃうわよー。」

「ユウトなら大丈夫じゃね?」

「あはは、あーね!」



清瀬くんに手を引かれて、私はみんなに会釈すると清瀬くんに付いて店を出た。