(なんでよりによって今日…)



一昨日までなら嬉しかったことが、今日は世界が一変している。



傍にいるのが、辛い─



生徒としてここに居なければならないのに、今もやっぱり先生が好きで、好きで。

それじゃ駄目だと思えば思うほど、今にも『先生が好き!』と叫びそうな衝動に駆られてしまう。



もしも今私がここで涙を流したら、またいつかの夏の日のように熱い胸に私を抱き締めてくれるのだろうか…

ふとそんな狡い想像をしてしまう自分が憎らしくて、ますます私を苦しめる。



(清瀬くん…)



私はなるべく清瀬くんのことを考える。

にやりといたずらっ子のように笑う笑顔、腕の中の温もり…



でも…



『利用してよ、全然。』



ふと浮かぶ彼の言葉に、自分の狡さが紛いのないものであることが裏付けられるようで、さらに苦しくなる。



「あのさ、実は帰りにちょっと話したいことあるんだ。」



先生は言いながらてきぱきと身の回りのものを片付けていく。



好きなのに、傍にいたいのに、こんなに辛い─



もう何も考えたくない…

私はもう清瀬くんのことも考えるのを止めた。