「…ごめん、ね。

こんな風に、清瀬くんに甘えるの、間違ってるの分かってる…」

「だから止めとけって言ったのに。」

「……」

「なぁ、舞奈。」

「…うん。」

「付け込んでるの分かってるけどさ…



俺と付き合ってよ。」



「……」



「一週間、いや、傷が癒えるまででいいから。



俺のところに来いよ。」




気付いたら清瀬くんの傍は温かくて、どこか居心地が良くて。

でもこんな時にだけ頼ってしまっているようで申し訳なく思う。



「お前の今考えてること、何となく分かる。

けど、全然いいから。

お前に頼られるなら嬉しいし。利用してよ、全然。」



「!!」



「だから、な?

俺と付き合う?」



「……」



「舞奈。

好きでいても苦しいだけなの分かってるんだろ?」



「…うん。」



「じゃ分かったら返事。俺と付き合う?」



「…はい。」



清瀬くんが腕に力をこめて私を抱き寄せた。

私は清瀬くんの胸に頬を寄せる。



多分もう恋はしない。

でも先生にさよならとは思わない。

だって今も、これからも先生は先生。先生にとって私は生徒…



「ごめんね…」

「なんで?

俺、チャンス貰えたと思ってっし。舞奈がソイツのこと忘れるまでに振り向かせるから覚悟してて。」



清瀬くんがにやりと笑う。



今はその笑顔に救われる。

今はその笑顔に甘えさせて…



私は涙が止まらないまま、凄く無理して多分きっと凄く不細工な笑顔を返した。

     *  *  *